皆さんこんにちは。
ご縁あって、とあるニュースサイトでビギナーにもわかりやすい蔵元コラムを連載することになりましたので、そこに掲載された記事を転載いたします。
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最近、オシャレな居酒屋さんや料理屋さんで日本酒を飲む女性や若い世代が増え、雑誌での日本酒特集を目にする機会も、ちょっと増えたような気がしませんか?
ここ数年で、日本酒にもやっと追い風が吹き始めてきたようです。生まれたときから氷河期世代の僕としては嬉しいかぎり...。じゃあ実際に、日本酒の出荷量は増えているのでしょうか?
※ 同じクルマでも用途やユーザーが全く異なる軽トラとポルシェを同列に語れないように、法律で「日本酒」と表記できるもの全てを一括りにしてしまうと話がややこしくなります。ここでは、「特定名称酒と呼ばれるいわゆる高級酒」と、「それ以外の普通酒」の2種類にざっくりと分けてお話します。
■日本酒全体の消費量は現在もバリバリ減少中
日本酒の消費量は、昭和48年(1973年)の1,766,000klをピークに下降の一途をたどり、平成23年(2011年)では603,000klと、実に65.9%減という凄まじい減少っぷり!全酒類におけるシェアも、ピーク時の30%弱から平成24年には6.7%にまで激減しています。
*資料:国税庁「酒のしおり」
更に、昭和45年には全国に3,533場もあった蔵元の数も、平成23年には1,709場まで減っています。中には日本酒を製造せずに免許だけ保持している蔵もあるので、実際にはもっと少ないはずです。(昭和40年~50年頃の急減は、諸説ありますがオイルショック等によるライフスタイルの変化が原因と言われています)
*資料:国税庁「酒のしおり」
■特定名称酒(高級酒)の一部は、少量ながら増加傾向
でも、近年、少量ながら少しずつ伸びているのは、先ほどもちょっと触れた「特定名称酒」。細かく分けると、以下のように分類されています。
*資料:日本酒造組合中央会
その中でも特に「純米酒」や「純米吟醸酒」といった純米系の伸びが好調です。
*資料:国税庁「酒のしおり」
まとめると、製造量の少ない特定名称酒(高級酒)の一部が少しずつ伸びており、大衆的な普通酒の多くが減少傾向と見ることができます。近年の世界的な和食ブームも追い風となり、海外輸出も特定名称酒を中心に順調に伸びています。
■若手世代による個性的な日本酒も次々と
そして、「出稼ぎ職人に任せる昔ながらの酒造り」から、(私のような)小規模蔵の跡取りが蔵を継ぎ(もしくは他業界から酒造りに入り)、ボトルデザインや味わいが個性的な日本酒を自ら造り始めたことも、少なからず要因のひとつなのではないかと考えられます。
日本酒造りの技術も日々進化しており、今が一番美味しい時代。今後はもっと美味しくなっていくことは確実です。ぜひ今からお気に入りの1本を見つけてくださいね。
ニュースサイト「しらべぇ」にて連載中
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